FGO巌窟王の「待て、しかして希望せよ」の多用は、本当に桜井光作品からのモチーフ流用と言えるのか

(検索エンジンなどからこの記事に直接訪れた閲覧者の方々へ)

このブログは、とあるブラゲ作品に起きた過去の盗用事件を風刺する漫画を描いた絵師が該当作品の『~の痛いアンチを晒すスレ』に晒され集団リンチされる過程で、無関係のはずの『FGO』がパクリ認定デマの拡散被害を受けたというネット炎上事件の経緯検証を行っているブログです。

攻撃方の主張の中に「FGOシナリオライターの桜井にもパクリ疑惑があるぞ、こちらは責めなくていいのか」というものが見受けられましたので、こちらの記事を作成して説明に代えています。

 

結論から申し上げますと、桜井光氏に関連するネット上の黒い噂とされるものの大半は

桜井光氏がスマホアプリゲーム『Fate/Grand Order』で執筆した2章と4章のシナリオへの不満を理由に匿名掲示板の『したらば掲示板 TYPE-MOON総合板(型月板)』に建てられた『桜井光アンチスレッド』と
『2ちゃんねるスマホアプリ板』の『Fate/GOスレ』の書き込みがソースであり、

特に散見される「桜井光氏はネカマである」「桜井光氏は盗作をしている」等の流言は
桜井氏と『白光のヴァルーシア』制作当時の原画家氏との確執(「キャラクターを考えてくれたらそれを元にこちらでシナリオを作る」と指示を出し、原画家氏がそれを不満に思っていた事を同人誌で公表した)などに尾ひれを付けた『桜井光アンチスレッド』の書き込みが元になっており、


該当スレッド内で作成された、まともな検証を行ったとはお世辞にも言い難い【盗作疑惑テンプレ】が匿名掲示板やアフィリエイトブログ等の各所に転載されるなどの伝言ゲーム式に広められた過程で発生したものです。

元になった『TYPE-MOON総合板(型月板)桜井光アンチスレッド』のテンプレが2017年9月現在でも『鬼哭酔夢魔京 羅生門』を桜井氏のシナリオであるかのようにミスリードしている事や、桜井氏がライアーソフト時代にシナリオやディレクターを手掛けた『スチパンシリーズ』のWikiから桜井アンチスレに丸コピペされた文章を根拠にFGO監獄塔イベントの「待て、しかして希望せよ」に言いがかりと言って良いパクリ疑惑を掛けている事から、その信憑性を推し量って頂きたいと思います。

ネカマ認定に至ってはソースが型月板『桜井光アンチスレ』の書き込みしか有りません。桜井氏の関係者を自称する件のネカマ発言書き込みも同じIDで「アルテラの正体はニャルラトホテプ」等の誤認を行っており、到底関係者リークと呼べるものではありません。

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以降の文章では『TYPE-MOON総合板(型月板)桜井光アンチスレッド』にて、桜井氏の自著『漆黒のシャルノス』『黄雷のガクトゥーン』から『FGO』へののモチーフ流用の根拠?扱いでテンプレ入りされているこちらの真偽について解説を行います。

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『FGO巌窟王の「待て、しかして希望せよ」の多用は、本当に桜井光作品からのモチーフ流用と言えるのか』。



有名な古典(アレクサンドル・デュマ作「モンテ・クリスト伯」)が大本とはいえ、「ライアーソフト時代の桜井作品『シャルノス』『ガクトゥーン』内で同じ台詞が通算3回も使われていて、「待て、しかして希望せよ」のフレーズで検索するとすぐ上位に『桜井光作品 @ ウィキ - 「待て、しかして希望せよ」 - wiki(アットウィキ)』が検出されるのだから、『(桜井氏がFGOに自著要素を無断でねじこんできた疑惑は)黒』だろう」という経緯でテンプレ入りしたようです。リンク先の記事も「桜井氏がFGOに自著要素を無断でねじこんできた」という思い込みを前提にした荒らしに遭っていますね…


ですが、TYPE-MOONスタッフは桜井光氏が自作品で「待て、しかして希望せよ」のセリフ引用を行う以前から、FGO「巌窟王 エドモン・ダンテス」の造形にも繋がる『巌窟王』への言及を行っています。

 
FGO「巌窟王 エドモン・ダンテス」のセリフに、デュマの『モンテ・クリスト伯』原作には登場しない2004年のアニメ『巌窟王』のパロディ台詞「お二人にコーヒーを!」が実装されている事を始めとする、FGOとアニメ『巌窟王』との関連性はTYPE-MOONのファンwikiでも紹介されていますが、

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アニメ『巌窟王』第一話で中田譲治氏演じるモンテ・クリスト伯のセリフ「お二人にコーヒーを!」をTYPE-MOONスタッフが気に入り、社内で流行させていたことや、同セリフを奈須きのこ氏が愛用していることがわかるソースが2005年10月発行の『Fate/ホロウアタラクシア』特典冊子に掲載されています。

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「待て、しかして~」が引用された桜井作品『漆黒のシャルノス』が08年、『黄雷のガクトゥーン』が2010年なので、桜井氏が自作品で「待て、しかして希望せよ」を引用する3年以上前から、型月と奈須きのこ氏は(アニメ巌窟王をベースにした)巌窟王のモチーフにツバをつけていたと分かります。

ライアーソフト時代の桜井作品で「待て、しかして希望せよ」が使用された回数は僅か通算3回ですが、アニメ『巌窟王』で「待て、しかして希望せよ」が使用された回数は実に20回以上。これはアニメ『巌窟王』の次回予告ナレーションが毎回「待て、しかして希望せよ」のセリフで終わる形式だったからです。

ここで『空の境界コラボイベント』の巌窟王の登場タイミングと『監獄塔に復讐鬼は哭く』の各話で「待て、しかして希望せよ」のフレーズが登場するタイミングを調べてみましょう。

 

『空の境界コラボイベント』で巌窟王が「待て、しかして希望せよ」を発言するタイミングはコラボエピソードのトリの「明けの境界」でした。

次に、『監獄塔に復讐鬼は哭く』で「待て、しかして希望せよ」が登場するタイミングを整理してみます。

 

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最終章である第七の扉を除き、ほぼ、各エピソードの結びとして次章への引きを演出するものになっています。
FGO『空の境界コラボイベント』の「明けの境界」、『監獄塔に復讐鬼は哭く』における「待て、しかして希望せよ」のセリフが、アニメ同セリフが結びの決めセリフになっている『巌窟王』次回予告と同じく、「引き」の演出に使われていると言って差し支えない構成になっていることが分かります。

以上がFGO『空の境界コラボイベント』、『監獄塔に復讐鬼は哭く』における「待て、しかして希望せよ」の多用は桜井光作品由来ではなくアニメ『巌窟王』次回予告のオマージュなのではないかという私見です。

「桜井が自作品の『シャルノス』『ガクトゥーン』から「待て、しかして希望せよ」をFGOにねじこんできたんだ」という主張と信憑性のほどはそう変わりありませんが、
『桜井光アンチスレッド』での「桜井氏が手がけた2本のゲームで通算3回このフレーズが登場したから黒」なる主張は無理筋だろうと感じたので、

与太話の域を出るものではありませんが「桜井氏が自作品で「待て、しかして希望せよ」を引用する3年以上前から、型月と奈須きのこ氏は(アニメ巌窟王をベースにした)巌窟王のモチーフにツバをつけている」ことだけは提示しておきます。